SRM校正
SRMも校正が必要なので、そのやり方について。基本はPTとにたようなもの。だがPTと異なり、SRMの場合、トルク測定値を計算するパラメータそのものを変えることもできる。
■まえおき
SRMは出荷前に工場で校正(ファクトリー・キャリブレーション)されていて、正しいトルク測定値がでるような計算パラメータ(スロープ値)をCPU部(PC-V)に入力して使うようになっている。
つまり、トルク測定値の校正ずれの大きさが分かるだけのPowerTapとは違って、校正ずれが大きくなったら、PC-Vに入れるスロープ値を変えれば自分で測定値を修正できる。
これに対し、PowerTapではパラメータがハブ側に(アナログ的に?)埋まっていて、ユーザ自身での調整は不可。
便利、と言えば聞こえがいいが、PTに比べて校正に不安があるだけとも思われる。実際、Wattageには多数のSRMファクトリー・キャリブレーションのスロープ値ずれ・経時変化の報告があり、やらないと駄目そうです。やっぱり設計が古いのか…でも物理的にロバストで、中身がいじれるから、プロのツールとしてはこっちが信頼できるのは当然。他の道具と同じですね。
ちなみに、ゼロ・オフセット値とスロープ値は別のものです(→物好きな人だけ※1をどうぞ)。
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※1 SRMのパワー、トルク計算方法:
P = Tω = [(f_loaded - f_zero_offset) / F_cal] * [v * 2π / 60]
ここで:
P = パワー
power (Watts)
T = トルク
torque (Nm)
v = 角速度
angular velocity (rad-1)
f_loaded = フリケンシー・アウトプット@トルクを掛けたとき
frequency output of PowerMeter when a known load is applied (Hz)
f_zero_offset = フリケンシー・アウトプット@トルクを掛けないとき
frequency output of PowerMeter when no load is applied (Hz)
v = ケイデンス
cadence (revolutions per minute)
Fcal = スロープ値
calibration factor, or “slope” of the PowerMeter (Hz/Nm)
なぜトルクの計算にHz単位が出てくるかというと、SRMは歪ゲージの測定値の大きさを、一定周期内のパルス発信数に変調し送信しているから。トルクゼロ状態でも400〜600Hz(これがゼロ・オフセット値 f_zero_offset)の発信がある。トルクがかかるとf_loadedが増加する。ここから、f_loaded - f_zero_offsetの値を、「スロープ値」F_cal[Hz/Nm]で割ると、トルク[Nm]が分かる仕掛け。これに1秒あたりのペダル移動距離(角速度ω=v * 2π / 60)をかければパワー値[W]になる。で、F_calの値は個体差があるので、校正が必要ということ。f_zero_offsetも温度(やチェーンリング締め付け度合い等)によって変わるので、こちらは走行時に毎回校正します。
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■使うもの
・自転車を固定する台
クランプ付きのメンテスタンドがベスト。家では置くだけのディスプレイスタンドか、ローラー台です。
・重り
精密な競技用ダンベルなどがベストですが、とりあえず(いつもの...)水を入れたポリタンクでもよいでしょう。家でも水入りポリタンクを家庭用デジタル体重計で量ったものを使いました。
・磁石
SRMはすぐスリープするので、ウェークアップ用として重宝します。
・計算用Excelスプレッドシート(マニュアル入)
http://wattage.googlegroups.com/web/SRM%20Calibration.xls
中身に含まれているマニュアルはSRM本家(※2)からのコピーです。
※2
http://www.srm.de/Online_Manual/SRM_English_Manual/PMCalibrate.htm
■やり方
Excelスプレッドシートに書いてある方法に従ってください。原理はPT校正(http://tarmac2006.blog103.fc2.com/blog-entry-159.html)と同じく、重さが既知の重りをかけた状態で、パワーメーターのトルク出力を読み、計算値と比較する、です。自転車の置き方、ウエイトの掛け方等は、今回はこんな感じにしました:

以下、マニュアルの番号に従って…
(1)SRMをバイクに取り付けとく。スパイダーの捩れ具合に影響しそうな部分(チェーンリング・ボルトなど)の締め付けをチェック。その辺が緩い状態で校正しても、締めつけるとスロープ値がずれてしまうから。
(2)SRM(バイク)を測定場所に30分以上放置。スパイダー部の温度を安定させます。
(3)各部の「なじみ」を出すため、ペダルをはめて、踏みつけてみる。一回軽く走ってきて、スパイダー周辺各部の「すわり、なじみ」をよくしといた方がいいかも。
(4)SRMのシリアル番号(スパイダーのどこかにかいてあります)、ファクトリー・キャリブレーションのスロープ値をメモしておく。
(5)クランク長を記録。ExcelのCranks in metersに入力する。
(6)一応、日付と気温を記録。
(7)PC-Vを接続。
(8)重りを用意。重さを50g以下の精度で確認する。重りをペダルシャフトorペダル穴に掛けるフックやワイヤ等も用意(これらも重さに加えます)。ExcelのMass in kgに入力。
(9)ペダルを軽くはめておく。
※これは(3)の前にやらないとおかしいような…このマニュアル、ところどころ(独語からの?)英訳がおかしいのか、腑に落ちない点がある…
(10)バイクが水平であることを確認。スタンドにしっかり固定。
※これも、バイクは必ずしも水平である必要性はないような…
(11)重りはつけずに、クランクを5-6回逆回転させ(PC-Vとクランクがウェークアップする)、自転車を右からみて、クランクを15時・水平にする。この状態で、PC-VのMode+Setを同時押し。中段に表示されている値を記録。これが上記※1で出てきたフリケンシー・アウトプット(frequency output of PowerMeter)です。今、まさにトルクがかかってない状態でのフリケンシー・アウトプットが、すなわちゼロ・オフセット値です。これをExcel上に「Right zero-torque offset」として入力します。
※(11)〜(16)で、本来は一旦、左右のペダルを外して測った方が良いです。ペダルの重さが左右で異なるといけない(特に昔のTime Equipe Proシリーズ、Look PPシリーズなど重いもの…)ので。ただ最近のペダルは軽いし、左右で重さがそんなに違う訳でもないので、無視してペダルをつけたまま測ってもよいかと。実際、私はそうしました。
(12)右ペダルに重りをつけた状態で、クランクを水平に。
(13)必要であれば、ホイールを微妙に回転させて、クランクをがんばって水平に。
※(15)で結局ホイルを回しながらピーク値を探るから、ここでがんばって水平にしてもあまり意味ないかと…
(14)磁石でスパイダーの裏のプラスチック面を撫でる、とか適当な方法でクランクをウェークアップさせる。
(15)PC-VのMode+Setを同時押し。クランクを水平+5度くらいのところから、ホイルを少しずつ前に回転させていく。フリケンシー・アウトプットがどこかでピークになるので、これを記録。これをExcel上の「right 1」に入力します。
※結局ここでピーク値を見るんだから、(13)でクランク水平に拘る意味ってあまりないような…
(16)今度は左クランク側について同じことをやる。一応、重りを外し、自転車を左側からみて、クランクを9時・水平にし、ゼロオフセットをチェック。Left zero-torque offsetに入力してください。そして左ペダルシャフトに重りをつけて、フリケンシー・アウトプットを記録します。これをExcelのLeft 1に入力。
以下、(11)〜(15)と同じように、重りを外してゼロオフセット値チェック→重りをつけてフリケンシー・アウトプット記録のプロセスを、左右合計3回やる。これらの値を、それぞれがExcel上のright 2、left 2、right 3、left 3に入力します。このとき、重りを外すたびにゼロオフセット値をチェックし、10以上ばらついているときは、何かおかしいので初めからやり直してください。
(17)〜(18)Average slopeを計算する。これはExcelがやります。
(19)Average slopeの計算値を確認。ファクトリー・キャリブレーションのスロープ値、もしくは直近に自分で行った校正のスロープ値と比べる。5%以内の乖離だったら、Average slopeの計算値を新しいスロープ値として受け入れ、PC-Vに入力して使いましょう。
※5%以上だったら再校正!それでも5%以上だったら何か変です。SRM社にご相談下さい。
■マイSRMの結果
気温23℃、それぞれクランクについてきたPC-Vを使用。
クランク170mm。ウェイト12.2kg(フック込み)。
・FSA-SRM
ファクトリー・キャリブレーションのスロープ値:17.0Hz/Nm
ポリタンク校正のスロープ値:17.36Hz/Nm
誤差:-2.1%
・SRM Pro
ファクトリー・キャリブレーションのスロープ値:19.4Hz/Nm
ポリタンク校正のスロープ値:19.27Hz/Nm
誤差:+0.7%
ということで、微妙なずれ。でも、ファクトリー・キャリブレーションそのままでもそんなに問題なさそう。たまたま運がよかったのかな?一応、ポリタンク校正値をPC-Vにセットしときました。
■まえおき
SRMは出荷前に工場で校正(ファクトリー・キャリブレーション)されていて、正しいトルク測定値がでるような計算パラメータ(スロープ値)をCPU部(PC-V)に入力して使うようになっている。
つまり、トルク測定値の校正ずれの大きさが分かるだけのPowerTapとは違って、校正ずれが大きくなったら、PC-Vに入れるスロープ値を変えれば自分で測定値を修正できる。
これに対し、PowerTapではパラメータがハブ側に(アナログ的に?)埋まっていて、ユーザ自身での調整は不可。
便利、と言えば聞こえがいいが、PTに比べて校正に不安があるだけとも思われる。実際、Wattageには多数のSRMファクトリー・キャリブレーションのスロープ値ずれ・経時変化の報告があり、やらないと駄目そうです。やっぱり設計が古いのか…でも物理的にロバストで、中身がいじれるから、プロのツールとしてはこっちが信頼できるのは当然。他の道具と同じですね。
ちなみに、ゼロ・オフセット値とスロープ値は別のものです(→物好きな人だけ※1をどうぞ)。
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※1 SRMのパワー、トルク計算方法:
P = Tω = [(f_loaded - f_zero_offset) / F_cal] * [v * 2π / 60]
ここで:
P = パワー
power (Watts)
T = トルク
torque (Nm)
v = 角速度
angular velocity (rad-1)
f_loaded = フリケンシー・アウトプット@トルクを掛けたとき
frequency output of PowerMeter when a known load is applied (Hz)
f_zero_offset = フリケンシー・アウトプット@トルクを掛けないとき
frequency output of PowerMeter when no load is applied (Hz)
v = ケイデンス
cadence (revolutions per minute)
Fcal = スロープ値
calibration factor, or “slope” of the PowerMeter (Hz/Nm)
なぜトルクの計算にHz単位が出てくるかというと、SRMは歪ゲージの測定値の大きさを、一定周期内のパルス発信数に変調し送信しているから。トルクゼロ状態でも400〜600Hz(これがゼロ・オフセット値 f_zero_offset)の発信がある。トルクがかかるとf_loadedが増加する。ここから、f_loaded - f_zero_offsetの値を、「スロープ値」F_cal[Hz/Nm]で割ると、トルク[Nm]が分かる仕掛け。これに1秒あたりのペダル移動距離(角速度ω=v * 2π / 60)をかければパワー値[W]になる。で、F_calの値は個体差があるので、校正が必要ということ。f_zero_offsetも温度(やチェーンリング締め付け度合い等)によって変わるので、こちらは走行時に毎回校正します。
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■使うもの
・自転車を固定する台
クランプ付きのメンテスタンドがベスト。家では置くだけのディスプレイスタンドか、ローラー台です。
・重り
精密な競技用ダンベルなどがベストですが、とりあえず(いつもの...)水を入れたポリタンクでもよいでしょう。家でも水入りポリタンクを家庭用デジタル体重計で量ったものを使いました。
・磁石
SRMはすぐスリープするので、ウェークアップ用として重宝します。
・計算用Excelスプレッドシート(マニュアル入)
http://wattage.googlegroups.com/web/SRM%20Calibration.xls
中身に含まれているマニュアルはSRM本家(※2)からのコピーです。
※2
http://www.srm.de/Online_Manual/SRM_English_Manual/PMCalibrate.htm
■やり方
Excelスプレッドシートに書いてある方法に従ってください。原理はPT校正(http://tarmac2006.blog103.fc2.com/blog-entry-159.html)と同じく、重さが既知の重りをかけた状態で、パワーメーターのトルク出力を読み、計算値と比較する、です。自転車の置き方、ウエイトの掛け方等は、今回はこんな感じにしました:

以下、マニュアルの番号に従って…
(1)SRMをバイクに取り付けとく。スパイダーの捩れ具合に影響しそうな部分(チェーンリング・ボルトなど)の締め付けをチェック。その辺が緩い状態で校正しても、締めつけるとスロープ値がずれてしまうから。
(2)SRM(バイク)を測定場所に30分以上放置。スパイダー部の温度を安定させます。
(3)各部の「なじみ」を出すため、ペダルをはめて、踏みつけてみる。一回軽く走ってきて、スパイダー周辺各部の「すわり、なじみ」をよくしといた方がいいかも。
(4)SRMのシリアル番号(スパイダーのどこかにかいてあります)、ファクトリー・キャリブレーションのスロープ値をメモしておく。
(5)クランク長を記録。ExcelのCranks in metersに入力する。
(6)一応、日付と気温を記録。
(7)PC-Vを接続。
(8)重りを用意。重さを50g以下の精度で確認する。重りをペダルシャフトorペダル穴に掛けるフックやワイヤ等も用意(これらも重さに加えます)。ExcelのMass in kgに入力。
(9)ペダルを軽くはめておく。
※これは(3)の前にやらないとおかしいような…このマニュアル、ところどころ(独語からの?)英訳がおかしいのか、腑に落ちない点がある…
(10)バイクが水平であることを確認。スタンドにしっかり固定。
※これも、バイクは必ずしも水平である必要性はないような…
(11)重りはつけずに、クランクを5-6回逆回転させ(PC-Vとクランクがウェークアップする)、自転車を右からみて、クランクを15時・水平にする。この状態で、PC-VのMode+Setを同時押し。中段に表示されている値を記録。これが上記※1で出てきたフリケンシー・アウトプット(frequency output of PowerMeter)です。今、まさにトルクがかかってない状態でのフリケンシー・アウトプットが、すなわちゼロ・オフセット値です。これをExcel上に「Right zero-torque offset」として入力します。
※(11)〜(16)で、本来は一旦、左右のペダルを外して測った方が良いです。ペダルの重さが左右で異なるといけない(特に昔のTime Equipe Proシリーズ、Look PPシリーズなど重いもの…)ので。ただ最近のペダルは軽いし、左右で重さがそんなに違う訳でもないので、無視してペダルをつけたまま測ってもよいかと。実際、私はそうしました。
(12)右ペダルに重りをつけた状態で、クランクを水平に。
(13)必要であれば、ホイールを微妙に回転させて、クランクをがんばって水平に。
※(15)で結局ホイルを回しながらピーク値を探るから、ここでがんばって水平にしてもあまり意味ないかと…
(14)磁石でスパイダーの裏のプラスチック面を撫でる、とか適当な方法でクランクをウェークアップさせる。
(15)PC-VのMode+Setを同時押し。クランクを水平+5度くらいのところから、ホイルを少しずつ前に回転させていく。フリケンシー・アウトプットがどこかでピークになるので、これを記録。これをExcel上の「right 1」に入力します。
※結局ここでピーク値を見るんだから、(13)でクランク水平に拘る意味ってあまりないような…
(16)今度は左クランク側について同じことをやる。一応、重りを外し、自転車を左側からみて、クランクを9時・水平にし、ゼロオフセットをチェック。Left zero-torque offsetに入力してください。そして左ペダルシャフトに重りをつけて、フリケンシー・アウトプットを記録します。これをExcelのLeft 1に入力。
以下、(11)〜(15)と同じように、重りを外してゼロオフセット値チェック→重りをつけてフリケンシー・アウトプット記録のプロセスを、左右合計3回やる。これらの値を、それぞれがExcel上のright 2、left 2、right 3、left 3に入力します。このとき、重りを外すたびにゼロオフセット値をチェックし、10以上ばらついているときは、何かおかしいので初めからやり直してください。
(17)〜(18)Average slopeを計算する。これはExcelがやります。
(19)Average slopeの計算値を確認。ファクトリー・キャリブレーションのスロープ値、もしくは直近に自分で行った校正のスロープ値と比べる。5%以内の乖離だったら、Average slopeの計算値を新しいスロープ値として受け入れ、PC-Vに入力して使いましょう。
※5%以上だったら再校正!それでも5%以上だったら何か変です。SRM社にご相談下さい。
■マイSRMの結果
気温23℃、それぞれクランクについてきたPC-Vを使用。
クランク170mm。ウェイト12.2kg(フック込み)。
・FSA-SRM
ファクトリー・キャリブレーションのスロープ値:17.0Hz/Nm
ポリタンク校正のスロープ値:17.36Hz/Nm
誤差:-2.1%
・SRM Pro
ファクトリー・キャリブレーションのスロープ値:19.4Hz/Nm
ポリタンク校正のスロープ値:19.27Hz/Nm
誤差:+0.7%
ということで、微妙なずれ。でも、ファクトリー・キャリブレーションそのままでもそんなに問題なさそう。たまたま運がよかったのかな?一応、ポリタンク校正値をPC-Vにセットしときました。
